2011年10月08日

『神様の女房』 高橋誠之助

松下幸之助の妻むめのさんのことを
松下家の元執事が書いた本。

淡路島の漁師の二女だった彼女が
幸之助と見合いをし、彼に決めた理由がすごい。

「幸之助の条件が、誰よりも一番悪く、厳しいものだったから」
だからこそ「人からもうろうた人生ではなく、
自分自身で人生を作っていくことができるんや」

むめのさんは起業した夫を助け、
内助の功を発揮するのですが
この時に男の価値を見極めているんですね。

彼の目が鋭いことも判断材料です。

戦前の古い女性像の部分もありますが
これは現代にも通用するかも。
こういう女性の生き方もあるのかもしれない。

例えば、松下産業の幹部の奥さまたちから
男を立てるのは、図に乗るからやりたくない、
と相談されるのに対して
そうさせておいて、世間でもそのプライドを保つように仕向ければ
男は仕事を一生懸命にするもの。
だから、妻がすべてをわかってて立てるという。

内助の功だけではなく、商売についても学べます。
松下産業が工業や職人の世界に近いと思っていましたが
最初から「商売」として仕事をとらえて
営業や人とのつきあいに力を入れている
のが印象深い。

松下の家族主義から住み込み制度だったのは有名ですが
そのなかでむめのさんの役割の大きさも
大変さも並大抵ではない。
しかし、それをやってのける彼女の手腕に脱帽。

サブタイトルにあるように、むめのさんがいたからこそ
創業が成功したともいえます。

楽天ブックスの『神様の女房』へ『神様の女房 もう一人の創業者・松下むめの物語』
高橋誠之助
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posted by かつき at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月06日

『リクルートの女性力 会社の「空気」は女で決まる!』 福西七重

昔、ある企業で社内報を作っていた時、
常にお手本として、目標として頭の中にあったのは
リクルートの社内報「かもめ」です。

その切り口のうまさは、
さまざまな情報誌を作っている会社だけありますし、
それに応えられる人材の豊富さも羨ましく思いました。
上意下達だけではなく、経営者にもポンポン物を言う紙面、
スピードの速さなど、どれも真似したくてもできませんでした。

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posted by かつき at 09:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月04日

『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』 山口絵理子

バングラディシュで作られたジュートのバッグを販売する
株式会社マザーハウス
そのデザイン性と発展国での生産という珍しさから、
女性にとても人気のあるバッグです。

そのマザーハウスを立ち上げた山口絵理子が
半生をエッセイで綴りました。
半生といっても彼女は、まだ20代。

しかし、小学校でのいじめ、非行に走った中学生時代、
柔道一筋の高校時代、4か月の受験勉強で慶応大学合格、
ワシントンの国際機関で働き、バングラディシュの大学院留学。
そしてバッグの製造を手掛けるようになります。

猪突猛進ぶりには、唖然としながら
でも引き込まれていきます。

本書ではフェアトレードを否定しているのですが
すべてのフェアトレード製品が粗悪なわけではないですし
すべての人が同情でフェアトレード製品を
買っているわけでもありません。

その点は納得できないですし
マザーハウスのバッグを買っても
バングラディシュの最底辺の人々の生活が
よくなるわけでもありません。

ただ彼女には、この売上から数%を積み立てて
バングラディシュに学校を作るという夢があります。

欠点もたくさんあり、めちゃくちゃな暴走から失敗も多い。
けれど、彼女が成し遂げたことはやっぱりすごい!

bard_happybird.gif 本書でチェックしたところ
「私はいじめで学校に行けなかったけれど、世界中には社会的システムが原因で学校に行けない子どもたちが何億人といるんだ。あぁ! 私の使命はここにあるんだ!」

(この大きなビルは、途上国の現実からあまりにも遠くかけ離れている)
悩み、苦しみ、そして雇用契約が切れる間近、私の心には一つの決心が固まりつつあった。それは、「途上国に行く」ということ。

今までは努力すれば何でもできる、そう信じていた。
けれど、一人の人間ができることの限界、変わらない現実が、はじめて努力だけではどうしてもできないものがあるんだと思い知った。自分の存在意義がわからなくなってしまい、大学院に行くリキシャの上で、こんな役たたずならば、いっそ事故にでも会って死んでしまえばいいと思ったりもした。

生産者は、うつむきながらミシンを縫うのをやめ、「誇りとプライド」を持ってモノ作りにあたる。そうしてできた商品を、先進国のお客様は使い、満足する。それはNGOや生産者を支援するという目的ではなく、企業としてビジネスとして行うべきで、デザイン、品質管理、すべてを徹底する。

ビジネスの世界で戦うと決めたのに、「社会的な意義」をアピールすることは、そういった要素に頼ってしまている証拠だ。「社会的な意義」を商談に持ちこんで、それでモノを売ろうとする自分の根性に、甚だ嫌悪を感じた。

バングラディシュに滞在した二年間、この国の人たちは、「ありがとう」と言う習慣がないことを、いつも疑問に思っていた。
別に「ありがとう」と言ってもらいたいわけではなかったけれど、人に何かしてもらっても、当たり前の顔をして過ぎ去っていく人たちを見て、こういうところが本当に貧しい部分だと心から思っていた。
しかし、いまここにいる工場のみんなは、今まで聞いたことがなかった「ありがとう」という言葉を発している。

食べ物が十分でない、きれいな服もない、家族もいない、約束された将来もない。そして生活はいつも政治により阻害され、きれいな水を飲むにも何キロも歩かなければならない。そんな人たちが毎日必死に生きていた。
ただただ生きるために、生きていた。
(中略)
他人にどう言われようが、他人にどう見られ評価されようが、たとえ裸になってでも自分が信じた道を歩く。
それが、バングラディシュのみんなが教えてくれたことに対する私なりの答えなのだ。



裸でも生きる
icon『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』
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山口絵理子
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posted by かつき at 12:26| ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『セーラが町にやってきた』 清野由美

創業250年の老舗造り酒屋と和菓子屋に
1994年、アメリカ人女性が入社します。

彼女はセーラ・マリ・カミングス。
おもしろがりの和菓子屋「小布施堂」の社長市村次夫によって
その日のうちに契約社員として雇われます。

本書はセーラの八面六臂の活躍を追っていくのですが
彼女のバイタリティにはただただ唖然。

そもそも長野五輪で何かがしたいと長野にやってきて挫折。
そのアイディアと行動力が開花したのは小布施堂に就職してから。

1996年、長野オリンピックでの英国アン王女主催の
英国選手団激励会のアテンド、
海外で行われていた国際北斎会議(小布施は北斎が晩年、
よく訪れ、小布施堂の五代前がスポンサーとなっており
北斎美術館「北斎館」がある)の小布施招致。

酒作りでは使われなくなった蔵を改装して
和食レストラン「蔵部」の開業。
小布施ッションという月一のイベント。

この間にも婚約と婚約破棄。
ペットとの別れなど、プライベートも忙しい。

彼女のすばらしさは、たとえば、店などのデザインを
国際的に有名なデザイナーに頼んでしまえるような、
なにも臆さない度胸。
物事の本質をつかむ才能とセンスの良さ。
そして人懐っこさ。

しかも2001年に日経ウーマンが主催する
「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2002大賞」に選ばれたのち、
このように語っています。
今、成功したように見えても、明日はダメになるかもしれない。三〇代の今がピークというふうには、絶対にしたくない。だから常に『これでいいのか』って、自分に向かって問いかけています


人生がうまくいっている時、人間はホッと力を抜きたくなります。
でも彼女はその怖さを知っています。
うまくいくことの怖さを知っています。
だからこそ、常に前に進んでいけるのでしょう。

このような生き方を全面的に賛成するわけではありませんが
自分で自分の枠を決めたり、
自分だけが走ることを恐れている日本人に
なにかを教えてくれるような気がします。

また、小布施堂とその親会社枡一市村酒造場
懐の深さを感じます。

日本では契約社員を取締役まで出世させることは稀です。
例えば、売上No.1でマスコミに取り上げられるような人が
アルバイト待遇のままだったりする大企業はゴロゴロあります。

しかしセーラは権限と待遇を手に入れています。
ラッキーではなく、これが当たり前でしょう。

本書の写真は、蔵で働く人や職人、市村家の古い家や店などが中心です。
それが老舗の風格を醸し出しています。
もしかしたら、著者や編集者のリスペクトなのかもしれません。


セーラが町にやってきた
icon『セーラが町にやってきた』
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清野由美
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リーフライン

posted by かつき at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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