2009年01月15日

『いい奴じゃん』 清水義範

日本一の運の悪い男といわれる荒木鮎太は派遣で働く24歳。
度重なる不幸な出来事も、彼にかかれば「運は悪くない」。
派遣でも生活していけるし、寝るアパートはあるし、丈夫で健康。
これはすごく運がいい、ということになります。

それでも彼は周りの人々と重なる出来事によって
仕事をクビになったり、派遣登録を抹消されたり
変な女性に誘惑されたり
ストーカー男と変な出会いを繰り返したり
強盗にピストルで撃たれたり。
まあ、次々にコトが起こります。

しかし彼はそれらを右に左に流しながら
淡々と、まじめに、時には大胆に生きていきます。

この不景気の世の中で、ちょっと運が悪くて
氷河期に就職せざるを得なかった世代におくるワーキング&生き方小説

オネエ言葉を使う派遣の友人、大道寺薫とのからみがいい。
普段は「ちょっと変な奴」を思っているけれど
イザとなると助けに走る。
少々強引なこともしますが、礼儀をわきまえ
友だちのため、という理由があります。

また、彼が完璧な人間ではなく
物語の中で成長していく姿が頼もしい。
元気をくれる小説です。



いい奴じゃん
icon『いい奴じゃん』
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清水義範
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ラベル:小説
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2008年11月18日

『いのちの米 堂島物語』 富樫倫太郎

『堂島物語』の続編。
忙しくて書評を書けなかったのですが
『堂島物語』は、貧しい小作の倅吉左が
大阪の米問屋に丁稚奉公しながら
「つめかえし」で相場の才能を発揮するサクセスストーリー。
堂島米会所ができる前のことですが
すでに先物取引が行われ、その活気が伝わってきます。

その後、吉左は独り立ちして店を構え、嫁を貰います。
この馴れ初めは『堂島物語』の読みどころ。

本書では、つめかえしの腕を見込まれて、知り合いのお金を預かり
米相場を張ります。

ちょうど堂島米会所ができた頃は
享保の大飢饉などがあり、激動の時代でした。
「酒田五法」を生み出した相場師本間宗久も、この時代の人。

その酒田出身の天才相場師、
寒河江屋瑞山(さがえや ずいざん)なども登場し
最初からワクワクする展開です。

物語の山場は西国を旅した吉左衛門が凶作を見て
堂島でナンピン買い下がりをたった一人仕掛けるところ。
その緊張感は現代の相場でも充分通じます。

前書もそうなのですが、うまく行き過ぎる
という欠点があるんですよね。
それから加保の心と体の具合もとってつけたよう。
でもそれらをじっくりと急がずに描いていくので納得させられます。


いのちの米 堂島物語
icon『いのちの米 堂島物語』
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富樫倫太郎
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ラベル:読書 小説
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2008年08月02日

『カイシャデイズ』 山本幸久

『凸凹デイズ』『渋谷に里帰り』など
山本幸久のお仕事小説はしんどい仕事を
ユーモアのあるドタバタと力技でやっつけ
暖かい読後感を残します。

本書もその流れをくんでいます。
内装会社が舞台となり、そこに勤める人々の
お仕事ぶりを描く8つの連作短編。

内装会社勤務の経歴をもつ著者なので
リアルな出来事なんでしょうね。

強面でぶっきらぼうな営業の高柳。
自分勝手な天才デザイナーの隅元。
会社に住んでいるとしか思えない施行の篠崎。

この三人が中心となりながら
高柳の人気の妬む同期の江沢に、
へなちょこな部下橋本と石渡。
マドンナ的存在の小田弘子に
会社の主となっている大屋時枝。
社長の巨瀬(こせ)など多彩。

店舗の内装を請け負う中小企業ながら
そこそこ実績があり、失敗しながら
顧客の意向を無視しながらも
なんとなく会社が続いていくのがおもしろい。

物語が進むにつれ、会社創立のドタバタも
明らかになってくるのですが
高柳たちの無茶苦茶ぶりとともに
仕事ってまじめにやるところと遊ぶところとが
まじりあっているもんだね、だからおもしろいんだね
と納得させられます。
それと同時に、会社務めだからできる無茶ともいえます。

付け加えて、大家の存在が気に入りました。
一見、お局様のようでいて、懐が大きい。
経理もなにもない会社を独学で学んだ会計知識と
法務知識で守ってきた彼女が縁の下の力持ち。
こういう人がいるから、会社は回ります。

『カイシャデイズ』
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2008年07月22日

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『あぽやん』 新野剛志

大手旅行代理店に勤める遠藤啓太は
29歳にして出世コースから外れ、空港勤務につくことになります。

旅行会社は大手航空会社のグループ企業で
それなりに優遇されていることもありますが
仕事はツアー客のトラブル解決。

「あぽやん」というのも業界用語で空港を指す「APO」に
親しみをこめて名づけられたもの。
さまざまなトラブルを片づけて、お客様に満足して
旅立ってもらう「あぽやん」はこの仕事のエキスパート。

遠藤啓太も最初は不貞腐れてはいたものの
目の前の仕事にしっかりと取り組みたいという希望を失わず
あぽやん目指して奮闘します。

クレームの多い常連客や
ワケあっていつもキャンセルする女性客、
子どもを置いてサッサと旅立つ両親など
お客様との物語もさることながら
お仕事小説としての読みどころが満載。

空港採用の女性たちの薄給とプライド、
旅行代理店内における空港と営業所とのパワーバランス、
一見、手を抜いているように見える先輩の仕事ぶり。
それが啓太自身への仕事への取り組みや考え方となります。

これで彼がグンと成長すればいいのですが
そうはならないのもいい。
仕事はそう単純なものではないのだから。

気持ちばかりが空回りしています。
でも彼のがむしゃらさが光っています。


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