2016年09月16日

『和の国富論』 藻谷浩介

『デフレの正体』『里山資本主義』の著者による「脱競争社会のつくり方」。

林業、漁業、地域復興、学級崩壊、超高齢化社会、都市の集中化など、現代日本の抱える問題を上手に解決している6人の俊英との対談集です。

それぞれの問題解決法が秀逸で、全く新しい発想で、もしくは日本に代々受け継がれてきた発想や暮らし、営みなどで取り組まれています。

日本という小さな島国ですが、豊かな自然と、人とのつながりを大切にする国民性によって、これからの時代を作りあげることができる予感に満ちています。

それが経済という面から切り取れば地域循環型の経済であり、集団の中での生き方では輪の中のポジショニングであり、生き方全体でいえば、ずっと同じ所に住み続けて、同じ仕事をするのではなく、人生のステージに合わせた移住が望ましく、循環することも大切である、と説きます。

右肩上がりや成長を諦めるのではなく、全く別の観点から自由に生きるための示唆に富んでいます。

本書に登場する6人の方のうち、養老孟司しか知らなかったので、他の方の著作も読んでみたい。


bard_happybird.gif 目次
はじめに

第一章 「林業」に学ぶ超長期思想……速水亨(速水林業代表)
木と上手に会話する/家業で山を持つ意味/アメリカの林業に学ぶ点/木材の需要をいかに増やすか/違法伐採はなくならない?/森林組合がやるべきこと/製材工場が生き残るには/広葉樹は神様の領分/山を怖がる日本人

第二章 「漁業」は豊かさを測るモノサシである……濱田武士(漁業経済学書)
漁業は「野生生物」が相手である/非科学的な「乱獲」議論/ノルウェー漁業の「神話」/マネー資本主義化する漁業/魚食リテラシーの低下/「道の駅」はあり得るか/日本社会の最後の砦

第三章 「空き家」活用で日本中が甦る……清水義次(都市・建築再生プロデューサー)
中学校をアートセンターに/「現代版家守」という発想/紫波町オガールプロジェクト/小倉家守プロジェクト/リノベーションのコツ/「地方消滅」の大誤解/サステナブルな都市の条件/地域で自立して生きる

第四章 「崩壊学級」でリーダーが育つ……菊池省三(元小学校教師)
教室は社会の縮図/「群れ」の外とのコミュニケーション/学力神話のバカらしさ/「生きる力」をどう育てるか/新たなエリート、「スーパーA」/「高学歴」の落とし穴/「最新学習歴」が大事

第五章 「超高齢社会」は怖くない……水田恵(株式会社ふるさと代表取締役社長)
「ふるさと」をつくる/空き家の活用/「満室経営」というパッケージ/「互助づくり」の最終目標/認知症八〇〇万人時代に/団塊ジュニアが気がかり/どうやって死んでいきたいか/「寅さん」の茶の間

第六章 「参勤交代」で身体性を取り戻す……養老孟司(解剖学者)
新円切替と教科書の墨塗り/少子化現象の謎/子供に寛容な社会/人口減少と国土/「東京」と「脳化」/身体で現実を見る/「現代の参勤交代」/東京にこだわらない

おわりに






posted by かつき at 17:00| このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする