2014年11月08日

『TPP亡国論』 中野剛志

今さらですが、TPPについて手軽に学ぶのに最適と思われる1冊を選んでみました。

本書はTPPを通じて、「日本人の戦略的思考回路を回復させようという試み」と著者が「はじめに」で述べられているように、このTPPが日本の経済、外交において、戦略的には全く間違っていることがよくわかりました。

TPP(環太平洋経済連携協定)とは、そもそも2006年にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で提携された自由貿易協定で、それを広く環太平洋に拡大しようというもの。

大ざっぱに言えば、アメリカ主導で、アメリカの輸出品を増やすために、各国の関税を全廃しようというものです。

これに日本が追随するのは、アメリカをさらに豊かにするだけで、日本は全くメリットがないから。なぜから、日本が輸出できる市場はほとんどアメリカだけ。日本の高級農作物を中国や東南アジアの富裕層向けに輸出すると言っても、規模としてはそんなに大きくありません。

それよりも関税を引き下げ、日本への農産物輸入が今まで以上に入ってくれば、日本の農業は崩壊します。

このTPPになぜ参加するようになったのか、そこにアメリカの戦略があり、日本は相変わらず無策があることが、本書では丁寧に解説されています。

TPPがEUとのFTA交渉の際の手段という段階においては、日本の政治家・官僚のアホさ加減にあきれ返りました。

また軍事的なパワーバランスからTPPを検証した論文も紹介されていて、興味深い。

交渉は難航しているものの、TPP提携は必然となっています。これからできる一人の庶民の対抗策は日本製の家電、日本の農産物を買い、外食の際には国産の原材料を使っている店を選ぶことしかないかもしれない。決してワンコインのランチなんて選んではいけない。


bard_happybird.gif 本書でチェックしたところ
懸案のTPPも、FTAの一種です。ただし、関税の即時撤廃を求めている点、そして関税撤廃の例外を認めないという点で、究極の自由貿易を目指すFTAであるとされています。

TPPは、しょせんは、アメリカの、アメリカによる、アメリカのための貿易協定に過ぎないのです。

ドル安でさらに安価になった輸入農産物は、関税の防波堤を失った日本の農業市場に殺到し、日本の農業に壊滅的な打撃を与えるのは、ほぼ間違いありません。

TPPへの参加それ自体が国益にとってプラスであるかどうかを確認するのが大原則でしょう。

日本は、国債をすべて自国通貨建てで発行し、かつその保有者はほぼ日本人で占められている上、経済収支黒字国なのです。


bard_happybird.gif 目次
はじめに
第一章 TPPの謎を解く
第二章 世界構造変化を読む
第三章 貿易の意味を問い直す
第四章 輸出主導の成長を疑う
第五章 グローバル化した世界で戦略的に考える
第六章 真の開国を願う

おわりに







ラベル:TPP
posted by かつき at 12:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 時代を読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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『TPP亡国論』
Excerpt: 中野剛志 『TPP亡国論』(集英社新書)、読了。 学校の先輩から、「中野剛志の主張は読んでおくべきだ」と強く勧められ、 久々に「本屋」で本書を買ってきました。 いや〜ぁ、これは読んでおい..
Weblog: 観・読・聴・験 備忘録
Tracked: 2014-11-08 22:56
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