2012年07月03日

『クローバー・レイン』 大崎 梢

大手出版社の文芸書担当の工藤彰彦は
偶然、珠玉の小説に出合います。
作者は、かつていい作品を書いていたが、今は落ち目で
なかなか新刊を出すのが難しくなっている作家・家永嘉人。

作品の評価よりも売上部数の方が優先される出版社の事情、
それに翻弄される作家とお蔵入りしていく作品たち。
まずはここがお仕事小説としての読みどころ。
これだけでおもしろく読めます。

さらにその作品には、仲違いしている娘の詩が無断で使われており、
家永に代わり、彰彦が娘の冬実に会いに行き、許可を求めます。

しかし、そこには家永の家の深い事情が隠されており、
それは彰彦の家が抱える問題とも繋がっていきます。

大手出版社ゆえの胡坐営業に、作家への非情な仕打ち、
反対に大手ゆえに人気作家の原稿を貰うのも簡単。
その辺の事情も、中検出版のやり手編集者を出し
彰彦と絡めながら描きます。

また文藝担当4年目の彰彦が今までの成功が
前任者から引き継いだ作家の人気によるものだと
改めて感じさせます。たとえ、力を抜いていなくても――。

彰彦は家永の傑作を世に出すべく、そして重版がかかるように
社内、書店などを奔走し始めます。
ひとつひとつの壁を突破すべく――。
この辺はややご都合主義的なのですが
それでも幸運というのは頑張っている人に降りかかってくるもの。

また周囲の人も誰もが頑張っているのも気持ちいい。

最後は泣かされます。






posted by かつき at 16:42| Comment(1) | TrackBack(1) | お仕事小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とてもよかったです。
こういう本に出会うから、読書はやめられないないんですよね。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2014年06月09日 12:06
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「クローバー・レイン」大崎梢
Excerpt: 作家=小説を書く人。 文芸編集者=小説のためになんでもする人。 老舗の大手出版社に勤める彰彦は、過去の人と目されていた作家の 素晴らしい原稿を偶然手にして、どうしても本にしたいと願う。 けれど..
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2014-06-09 11:47
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