2010年03月20日

『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』 クリス・アンダーソン

ベストセラー『ロングテール
「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』

クリス・アンダーソンによる「無料」に関する本。

100年くらい前から商品に付けられたさまざまな「無料」。
消費者はそれに惹かれて商品を買うこともしばしばです。
この古典的な「フリー」戦略から
現在のデジタル世界での「無料(free)」までをレポートしています。

フリーには、いくつもの方法や種類がありますが
それを4つに大別しています。

1 直接内部相互補助
   消費者の氣を引き、他のものも買わせる。結局、みんなお金を払う。
   無料体験、無料教室、無料サンプル、ポッドキャストなど。

2 三者間市場
   広告収入でまかなう。
   メディア、コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど。

3 フリーミアム
    基本は無料で、プレミアム版は有料。
    ウェブ上のビジネスモデル。子どもや女性が無料のサービス。

4 非貨幣市場
    対価を期待しない、本当の無料。
    ウィキペディア、フリーサイクル、オープンソース、不正コピー。

このように分類されると、自分が自然にそのなかに
組み込まれていることがわかります。

1に対しては、化粧品のサンプルは嬉しいけれど、
その対価は製品の価格に反映されています。  
   
2に対しては、テレビもラジオも
インターネットのあらゆるコンテンツも無料ですが
広告を自然に見させられ、影響を多少なりとも受けています。

3に対しては、氣にいったソフトウェアは、より高性能を求めて
有料版を使っています。
多くは月額数百円か3、4000円ですから。

4は、ブログやツイッターなどで
自分が仕掛ける側になっているでしょう。
お金を求めているのではなく、
情報や考え方、コンテンツを提供することで
それにトラッキングやコメント、フォローがつくことで
満足感、評判、歓びを得ています。

これらをより詳細に、慎重に論じた大作ですが
翻訳文がこなれていて、読みやすい。
するするとデジタルの世界の変容、
さらに中国やブラジルでの海賊版の普及の効果が
理解できます


デジタル世界ではフリーが可能になるのは自明なのですが
それを「テクノロジー(情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅)の
限界費用は年々ゼロに近づいている」
と説明してくれます。

「低い限界費用で複製、伝達できる情報は無料になりたがり、
限界費用の高い情報は効果になりたがる」

という現象もまた、理解しやすい。
フリーになりたがるのですから
それを利用して、さらなるビジネスモデルを構築するしかない。

それが希少な存在であれば、儲けとなるのです。

さらに、日本にはまだ入ってきていない無料のシステム、
航空料金、DVR、車、医療ソフトウェア、教科書などに
関するコラムがおもしろい。

特に日本では問題になっていながら、なかなか進まない
電子カルテとレセプトのソフトウェアが
アメリカでは無料で提供されていることに驚きました。
(ちなみに、その入力もインドにアウトソーシングして
低コスト化が進んでいます)

しかし、その代償として、広告がついたり
患者のデータベースを売ったりすることがあるそうです。
広告はいいとして、患者データは問題ですね。
刺激的な本でした。

bard_happybird.gif 本書でチェックしたところ
人はどうして、場合によって<無料>を質の低下だと考えるときと、考えないときがあるのだろうか。それは無料に対する感情が絶対的なものではなく、相対的なものだからだ。

フリーの敵はムダということになる。

タダで手に入れたものにはあまり注意を払わないから、大切にしないのだ。フリーは暴飲暴食やとりすぎ、考えなしの消費、ムダ、罪悪感、貪欲さを奨励する。

「インターネットの世界にはふたつの数字しかない。無限とゼロだ」。無限については少なくともIT関連会社の株式の市場価値としては誤りだったことがわかった。しかし、ゼロについては今でもちゃんと生きている。ウェブ経済は無料の地になりつつあるが、その理由はイデオロギーではなく経済学にある。価格は限界費用まで下がり、オンラインにおける限界費用はすでに、ゼロに等しい端数になっているのだ。

フリーはまちがいなくは快適だが、その嵐が通ったあとに、より効率的な市場を残すことが多い。大切なのは、勝者の側に賭けることだ。

啓発された利己主義こそ、人間のもっとも強い力なのだ。人々が無償で何かをするのはほとんどの場合、自分の仲に理由があるからだ。それは楽しいからであり、何かを言いたいから、注目を集めたいから、自分の考えを広めたいからであり、ほかにも無数の個人的理由がある。


bard_happybird.gif 目次
プロローグ
第1章 フリーの誕生

無料とは何か?
第2章 「フリー」入門
第3章 フリーの歴史
第4章 フリーの心理学

デジタル世界のフリー
第5章 安すぎて氣にならない
第6章 「情報」はフリーになりたがる」
第7章 フリーと競争する
第8章 非収益性
第9章 新しいメディアのビジネスモデル
第10章 無料経済はどのくらいの規模なのか?

無料経済とフリーの世界
第11章 ゼロの経済学
第12章 非貨幣経済
第13章 (ときには)ムダもいい
第14章 フリー・ワールド
第15章 潤沢さを想像する
第16章 「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」

結び
巻末付録1・2・3
謝辞
日本語版解説(小林弘人)

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クリス・アンダーソン
監修・解説 小林弘人
訳 高橋則明
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posted by かつき at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代を読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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